健康総合企業のタニタは、インターネットリサーチで「熱中症に関する意識・実態調査」を実施し、その集計結果を公開しました。この調査は2019年5月23日―5月24日の2日間、全国の15歳―69歳の男女(1,000名)を対象に行ったものです。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
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[調査結果]
第1章 熱中症の危険性に対する意識と“暑さ指数(WBGT)”に対する認知
■酷暑によりさまざまなシーンで熱中症リスク高まる! 4人に1人が「スポーツ観戦中」に熱中症の危険性を意識
■室内だと油断? 「家事」や「入浴」の際に熱中症の危険性を意識する人はわずか10%
■熱中症の危険性や熱中症対策の必要性などを意識するきっかけは? 「熱中症関連ニュースを見た」が最多
全国の15歳―69歳の男女1,000名(全回答者)に、熱中症を意識するのはどのようなときか聞いたところ、「屋外でスポーツ・運動をしているとき」(46.5%)が最も高く、次いで「屋外のイベント(フェスなど)に参加しているとき」(35.1%)、「屋外(公園、遊園地、プール・海など)で遊んでいるとき」(32.9%)、「スポーツ観戦をしているとき」(26.3%)となりました。屋外での活動やスポーツ観戦の際に、熱中症を意識するという人が多いようです。一方で、「寝ているとき」(11.9%)、「職場・学校にいるとき」(11.8%)、「家事をしているとき」(10.4%)、「入浴しているとき」(10.4%)はいずれも10%程度と低くなりました。
消防庁によると、熱中症の40%は住居内、18%は仕事場や学校で発生しています※。屋内外によらず、気温や湿度などを把握し、適切な熱中症の予防策を取ることが求められます。
※消防庁『平成30年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況』より。
なお、「住居」には敷地内全ての場所を含み、「仕事場」からは、田畑や森林、海、川等が発生場所となっている割合は除いています。
次に、熱中症を意識することがある人(864名)に、熱中症を意識するようになったきっかけを聞いたところ、「熱中症に関するニュースを見た」(56.6%)が最も高く、次いで「昨年の夏が酷暑だった」(45.4%)、「熱中症に関する注意を呼びかけられた」(25.8%)となりました。
■「自分が住んでいる自治体による“熱中症に関する注意喚起”を認知している」全体の49%
■自治体による“熱中症に関する注意喚起”の方法に地域差
全回答者(1,000名)に、自分が住んでいる自治体が、熱中症に関する注意喚起を行っているか聞いたところ、「行っている」は48.8%となりました。多くの自治体が、住民に対して熱中症や熱中症対策に関する情報を発信し、熱中症に関する注意喚起を展開していますが、認知率が半数を下回る状況であることが明らかになりました。
自分が住んでいる自治体が、熱中症に関する注意喚起を行っていると回答した人(488名)に、その自治体でどのようにして熱中症に関する注意喚起が行われているか聞いたところ、「パンフレット・リーフレットの配布」(34.8%)が最も高く、「広報誌に記載」(31.4%)、「ポスターの掲示」(27.3%)が続きました。
地方別にみると、「テレビ・ラジオでの情報発信」は北海道・東北(35.8%)、「防災無線・公用車での放送」は関東(33.5%)、「ポスターの掲示」は近畿(40.0%)が、それぞれ他の地方と比べて高くなりました。
■熱中症の危険度に関する判断材料は? 「テレビの天気予報」が79%と最多
■熱中症発症の危険度を示す「暑さ指数(WBGT)」に、熱中症予防のため注意を払う人は全体の5%にとどまる
■“暑さ指数(WBGT)”の認知 「どのような指標か知っていた」全体の12%
全回答者(1,000名)に、どのような情報から熱中症の危険度(その日の熱中症のなりやすさ)を判断しているか聞いたところ、「テレビの天気予報」が79.0%と最も高くなりました。次いで「天気予報サイト(アプリ含む)(ウェザーニュース、日本気象協会tenki.jpなど)」(23.6%)、「ポータルサイトの天気情報(アプリ含む)(Yahoo!天気、goo天気など)」(17.0%)、「身の回りの計測器(温度計、温湿度計、熱中症計など)」(10.4%)となりました。天気予報を熱中症の危険度の判断基準にしている人が多いようです。
また、熱中症にならないために気にしている(注意を払っている)項目を聞いたところ、「気温」(67.3%)が最も高く、次いで「天気(晴れ・曇り・雨など、気温や湿度を除く)」(59.5%)、「日差し」(41.5%)、「湿度」(36.8%)、「輻射熱(地面や壁からの照り返し)」(10.9%)、「暑さ指数(WBGT)」(4.7%)となりました。熱中症は気温が高くなくても湿度が高い場合に多く発生しています。気温・湿度・輻射熱を取り入れた指標である暑さ指数(WBGT)を把握することで、熱中症発症の危険度を知ることができますが、暑さ指数(WBGT)に注意を払っている人は全体の5%にとどまりました。
全回答者(1,000名)に、“暑さ指数(WBGT)”を知っていたか聞いたところ、「知らなかった」は58.0%となりました。他方、「名前は聞いたことがあった」は30.2%、「どのような指標か知っていた」は11.8%となりました。ちなみに、“暑さ指数(WBGT)”の把握には、気温と湿度に加えて、輻射熱の影響を測定できる「黒球式」と呼ばれる屋外対応の機器(黒球式熱中症指数計など)を使用する必要があります。
第2章 熱中症の症状と熱中症対策
■“熱中症経験あり”と自覚する人は全体の22%にとどまるが、実際の熱中症発症経験率は77%に上る恐れあり
■“熱中症を経験したことがない”と自覚する人の70%が、熱中症の症状に該当する何らかの不調を実は経験!
■無自覚のまま熱中症を発症するリスクあり!「めまい・立ちくらみ」「からだのだるさ」「顔のほてり」などの症状に要注意
“熱中症になったことがある”と自覚している人は、どのくらいいるのでしょうか。全回答者(1,000名)に、自身が熱中症になったことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した割合は22.3%となりました。
性年代別にみると、10代女性では41.0%と高く、50代女性では9.6%、60代女性では10.8%と低くなりました。
一方で、全回答者(1,000名)に、暑さによって引き起こされたからだの不調で自覚したことがある項目を選んでもらったところ、「めまい・立ちくらみ」が最も高く45.5%、次いで「からだのだるさ」が31.9%、「喉の異常な渇き」が26.7%となりました。何らかの不調を自覚したことがある割合は全体の77.0%となり、“熱中症になったことがある”と自覚している人の割合を大幅に超える結果となりました。
ここで、“熱中症になったことがない”とした人(777名)の回答をみると、熱中症の初期症状である「めまい・立ちくらみ」が37.3%、「からだのだるさ」が27.8%、「顔のほてり」が24.1%となり、熱中症の症状に該当する何らかの不調を自覚したことがある割合は70.4%となりました。このことから、“熱中症になったことがない”とした人においても、実際には熱中症の症状かそれに近い症状を経験している恐れがあることが判明しました。重度の熱中症を防ぐには、暑さなどにより引き起こされる熱中症の症状を把握し、初期症状を自覚したらすぐに処置をすることが大切です。
■過信は禁物! 5人に1人が「熱中症にならないという自信がある」
全回答者(1,000名)に、“熱中症にならない”という自信があるか聞いたところ、「ある」は20.4%、「ない」は79.6%となりました。「ない」と答えた人の中には、熱中症の対策を十分に行っていて、自信がある人が含まれると推察できる一方で、周囲の環境にひそむ熱中症を発生させる危険性を甘く見たり、自分の体力や体調を過信したりしている恐れがある人もいると考えられます。
暑さ指数(WBGT)が非常に高い環境下、熱中症発症の危険度を知ることなく、適切な熱中症対策をしない場合、誰でも熱中症を発症する危険性があります。“熱中症にならない”と過信している場合、熱中症の症状かそれに近い症状になっていることに気付かず無理をしてしまい、重篤な症状に至るリスクがあると考えられます。
■「暑い時期に熱中症対策を行っている」全体の73%
■実践する熱中症対策のトップ2は「水分補給」「エアコン使用」。「熱中症計使用」は対策実践者の5%にとどまる
全回答者(1,000名)に、暑い時期に熱中症対策を行っているか聞いたところ、「行っている」は73.4%となりました。多くの人が熱中症対策を行っているようです。
熱中症対策を行っている人(734名)に、どのような対策を行っているか聞いたところ、「水分をこまめにとる」が85.7%と最も高くなりました。次いで「扇風機・エアコンを使用」が54.8%、「涼しい服装をこころがける」が52.7%となりました。
汗をかくと、水分だけでなくミネラルも排出されるため、長時間の労働やスポーツなどで大量の汗をかいた際には熱中症予防のために水分だけでなく塩分(ナトリウム)を摂取することが重要とされていますが、「塩分補給をする」は42.6%と、水分補給と比べて実行している人の割合が低くなりました。熱中症の危険度は、ごく近い場所でも輻射や気流などによって異なりますが、「熱中症計の使用」は4.6%となり、黒球式熱中症指数計などの計測器を使用して自分が身を置く場の暑さ指数(WBGT)をはかって、熱中症を発症する危険性を確認している人は現時点では少数にとどまりました。
熱中症の発症は、個人の体力や健康状態によっても異なります。「睡眠をしっかり取る」は28.1%、「食事に気をつける」は19.6%、「暑さに慣れておく」は12.5%と、体調管理に気をつけることを意識する人は多くないようです。
男女別にみると、「日傘を使用」は男性4.1%、女性47.0%と、女性のほうが42.9ポイント高くなりました。男性は日傘をさすことを敬遠してしまう傾向があるようです。環境省では、熱中症対策のために男女問わず日傘を活用するよう呼びかけており、今後男性にも日傘の使用が広まるかもしれません。
■「熱中症について、症状や対応・処置などを学んだことがある」10代の62%、60代では26%
全回答者(1,000名)に、熱中症になったときの対応・処置を知っているか聞いたところ、「知っている」は51.8%となりました。
年代別にみると、60代が62.0%で最も高くなりました。
熱中症について(症状や対応・処置などを)学んだことがあるか聞いたところ、「ある」は38.9%でした。
年代別にみると、10代では62.0%に上りましたが、年代が上がるにつれて低くなり、60代では25.9%となりました。近年、熱中症の原因や症状、対処方法などに関する詳細な情報が提供されるようになっています。そのため、若い世代では、熱中症について詳しく学ぶことができたケースが多いと推察されます。その一方で、60代では、対応や処置について知っていると回答した人は多かったものの、学んだという項目では他の年代と比べて少なくなりました。
■「熱中症になりそうな暑い日でも、仕事ではスーツを着用するべきだと思う」20代男性の4人に1人
■「仕事中に熱中症の症状がみられても休憩できない」有職者の5人に1人
労働環境や日常生活において、どのようなシーンに熱中症のリスクが隠れているのでしょうか。
全回答者(1,000名)に、熱中症になりそうな暑い日でも、仕事ではスーツを着用するべきだと思うか聞いたところ、「思う」は8.6%となりました。
性年代別にみると、20代男性では「思う」が22.9%と高くなりました。若年男性には、暑い日でも我慢してスーツを着なければならないと考える人や、そのような環境下に置かれている人が少なくないようです。
次に、有職者(576名)に、仕事中に熱中症の症状がみられた場合、作業を中断し、休憩できるか聞いたところ、「できない」は20.8%となり、5人に1人が熱中症の症状があっても休憩できないと回答しました。忙しさや周りへの遠慮からか、体調に異変を感じても休憩を取れない人がいるようです。
また、全回答者(1,000名)に、暑い日はプールで遊んでいれば熱中症の危険はないと思うか聞いたところ、「思う」は7.4%となりました。水の中にいても熱中症になる危険がありますが、そのことを正しく理解していない人がいることが分かりました。
第3章 学校生活・部活動での熱中症に対する親の意識
■「暑い時期は子どもの熱中症が心配」親の88%
■運動部に所属する子どもの5人に1人が熱中症を経験
幼稚園・保育園児から高校生までの子どもがいる親(401名)に、暑い時期に子どもの熱中症が心配か聞いたところ、「心配している」は87.8%となりました。親の大多数が、子どもの熱中症を心配していることが分かりました。
次に、休日に家庭で行っている子どもへの熱中症対策は十分か聞いたところ、「十分だと思う」は52.4%、「十分ではないと思う」は47.6%と拮抗する結果になりました。休日の熱中症対策が十分にできていないと感じている親は少なくないようです。
子どもが熱中症になったことがあるか聞いたところ、「ある」は14.2%となりました。
運動部(学校内外の運動クラブを含む)への所属状況別にみると、子どもが運動部に所属している親では21.3%、所属していない人では9.3%と、運動部に所属している子どものほうが熱中症の経験率が高くなりました。
■「学校の先生は熱中症の知識を持っていると思わない」親の32%が不安視
子どもが通う学校での熱中症対策については、どのように感じているのでしょうか。
幼稚園・保育園児から高校生までの子どもがいる親(401名)に、子どもが通う学校(または保育園・幼稚園)は熱中症対策をしていると思うか聞いたところ、「思う」は68.1%、「思わない」は31.9%となりました。対策をしているという回答のほうが多かったものの、学校の熱中症対策に不足を感じている親は少なくないようです。
また、子どもが通う学校(または保育園・幼稚園)の先生は熱中症の知識を持っていると思うか聞いたところ、「思う」は67.6%、「思わない」は32.4%となりました。親の32%が、先生の熱中症知識が十分ではないと考えていることが分かりました。
■「部活動の指導者は熱中症の知識を持っていると思わない」運動部に所属する子どもの親の5人に1人
■「熱中症の危険度が高い日に無茶な部活動が行われていると思う」運動部に所属する子どもの親の34%
子どもが運動部(学校内外の運動クラブを含む)に所属している親(164名)に、子どもの部・クラブの活動(以下部活動)の顧問・指導者が熱中症の知識を持っていると思うか聞いたところ、「思う」は79.9%、「思わない」は20.1%となりました。運動部に所属する子どもの親の20%は、指導者の熱中症知識が十分ではないと考えているようです。
また、子どもが所属する部・クラブは、暑さで体調が悪くなったとき、体調不良を言い出せる環境にあると思うか聞いたところ、「思う」が94.5%となりました。
子どもの部活動の顧問・指導者は熱中症の危険度が高い日でも無茶な練習を続けると思うか聞いたところ、「思う」は34.1%、「思わない」は65.9%となりました。
■「熱中症の危険度が高い日は部活動を休んでほしい」運動部に所属する子どもの親の77%
■「“熱中症の危険度が高い日は部活動を禁止する”ルールが必要だと思う」運動部に所属する子どもの親の79%
子どもが運動部(学校内外の運動クラブを含む)に所属している親(164名)に、熱中症の危険度が高い日は子どもに部活動を休んでほしいと思うか聞いたところ、「思う」は76.8%となりました。多くの親が、熱中症の危険を避けるために休ませたいと考えているようです。
子どもが所属する部・クラブでは、熱中症の危険度が高い日は活動を禁止するといったルールがあるか聞いたところ、「ある」は46.3%、「ない」は53.7%となり、ルールがないという回答のほうが多くなりました。
熱中症の危険度が高い日は部活動を禁止するといったルールを作る必要があると思うか聞いたところ、「思う」は79.3%と、親の大半がルール化を重要視していることが明らかになりました。日本スポーツ協会では「熱中症予防のための運動指針」として、暑さ指数(WBGT)28以上は「厳重警戒(激しい運動は中止)」、31以上は「運動は原則中止」と定め、WBGTを表示する黒球式熱中症指数計の使用を推奨しています。気温・湿度・輻射熱を取り入れた指標であるWBGTによる制限など、何か明確なルールを設けることが必要ではないでしょうか。
■「塩分補給ができるスポーツドリンクを推奨」子どもが所属する運動部の77%
幼稚園・保育園児から高校生までの子どもがいる親(401名)に、子どもが通う学校(または保育園・幼稚園)ではスポーツドリンクの持ち込みが許可されているか聞いたところ、「許可されている」は49.1%、「許可されていない」は50.9%と、拮抗する結果となりました。
また、子どもが運動部に所属している親(164名)に、子どもが所属する部・クラブでは、スポーツドリンクのような塩分補給ができる飲み物の持参が推奨されているか聞いたところ、「推奨されている」は77.4%、「推奨されていない」は22.6%となり、推奨されているという回答が多くなりました。
■“夏の甲子園”に対する意識 「選手が熱中症にならないか心配」87%、「観客が熱中症にならないか心配」86%
■“夏の甲子園”における熱中症対策 「熱中症の危険度が高い日は試合を中止にするべきだと思う」77%
夏季には運動部の大会が多数開催されます。中でも全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)はテレビ中継され、注目度が高い大会の一つです。
全回答者(1,000名)に、全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)について、選手が熱中症にならないか心配と思うか聞いたところ「そう思う(計)」(「非常にそう思う」「ややそう思う」の合計、以下同じ)は86.5%となりました。多くの人が、炎天下でプレーする高校球児の体調を心配しているようです。
観客が熱中症にならないか心配と思うか聞いたところ、「そう思う(計)」は86.1%となりました。甲子園の観客は強い日差しが照りつけるスタンドで長時間応援を続けています。観客の熱中症を心配している人が多いようです。
夏の甲子園での熱中症対策について、どのように考えている人が多いのでしょうか。
熱中症の危険度が高い日は、試合を中止にするべきと思うか聞いたところ、「そう思う(計)」は77.3%となりました。また、ドーム球場で開催するべきは「そう思う(計)」が70.0%、開催時期を秋などに変更するべきは「そう思う(計)」が71.9%となりました。多くの人が、熱中症予防のために試合を中止することや、開催場所・開催時期を変更することを妥当だと考えていることが分かりました。
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